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Q19-1.
あなた様の次年度以降も本事業に携わる意向についてでは、辞退したい人はなく、
「ぜひ継
続したい」4人(50.0%)、
「頼まれれば行いたい」2人(25.0%)を合わせると75.0%となり全体の7
割以上が継続する意志があり、「まだ考え中である」は2人(25.0%)に留まった。
Q20. その他上記事項以外のことでの意見感想や要望についてでは、
「とても面白い事業だと実際や
ってみて感じた。もっと広がりを見せてくれると良いなあと思う」「やりたいことが活動費・謝礼金
もあってできることがとてもうれしい。ライフワークとして自分の地域でも継続的に具体化していき
たい夢になっている。手紙は人をつなぐとても大事なツール。実際に活動をしてみてその思いがさら
に大きくなった」「この細い糸ができる限り続くと相手のその時々の人生の流れに関わることができ
る。若い人には特にこれからの人生の困難に面したとき、間接的な応援団として関わることができる」
とやりがいやその意義を感じている回答があった。
8.まとめ
本事業では、対等なひきこもりピアサポーターから郵送されてくる絵葉書を返信はできないが受け
取ることなら可能とする当事者の心のありようをじゅうぶん理解して、ひきこもり当事者とひきこも
りピアサポーター双方に無理のない距離感をもって緩やかに交流できる手紙を活用したピア・アウト
リーチの開発事業について述べてきた。
当NPO活動における絵葉書によるピア・アウトリーチは「ひきこもり地域拠点型アウトリーチ」の
なかに位置づけ、社会資源が乏しい地域にアウトリーチを図るメゾ領域のひきこもり支援からミクロ
領域にあたる個々の絵葉書によるピア・アウトリーチへつながり、さらにはマクロ領域としての新た
な当事者活動の創出に接近する方法としてとらえてきた
(25)
。昨今、ひきこもりの長期高年齢化に伴
い訪問支援をアウトリーチの言葉に置き換えられることが多くなっているが、アウトリーチそのもの
は訪問支援だけを指すものではないだろう。家庭に訪問するといった狭義のアウトリーチに留まらな
い広義のアウトリーチを理解していく必要性があり、手紙や絵葉書はその実践活動の一形態として挙
げられる。
これまで触れてきたように絵葉書を活用した先行実践は全国的にも少なく、いくつかのひきこもり
を支援するNPOや家族会等でその実践がなされている実態に留まり、その必要性が問われつつも実践
領域としては広がらない現状であった。そこには電話や対面援助とは異なる文字や絵・イラスト・写
真で伝えていく時間と労力が求められるという援助の難しさがその背後にあるのではないかと考え
られるが、こうした実践活動に従来の専門職の視点だけではない、ひきこもり経験者としての視点や
経験的知識が加わることで、専門職領域だけでは見出せないひきこもり実践として相乗効果をもたら
すことが期待されている。前述してきた当事者による調査結果でもひきこもりピアサポーターならで
はの「メッセージがよかった」とする回答が予想以上の反応として多かったことからも理解できよう。
また当事者会や自助会などで一度は対面したことはあるが最近姿が見られなくなったひきこもり
当事者にも心に留めて絵葉書を郵送したところ、お礼の返信がありこれを契機に再び参加しはじめた
50.0
25.0
25.0
ぜひ継続したい(n=4)
頼まれれば⾏いたい(n=2)
まだ考え中である(n=2)
できることなら辞退したい(n=0)
その他()(n=0)
不明(n=0)
Q19-1.次年度以降も本事業に携わる意向について
N = 8