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を実施した。これは体験談を家族教室やグループワーク、研修などで話す機会がたくさんあるなかで
準備してもらい発表してもらう。Iさんもこれに参加して「バラエティ就活笑百科」というタイトル
で発表してもらった。内容は仕事の体験談を聞きたい人が結構多いので、就職活動や就職された人の
体験談を私たちが企画しIさんに来てもらい3人の人が3回ずつ発言してもらった。家族教室におけ
る本人の話というのはとても人気があるように思う。Iさんも大勢の家族の前で話してくれた。
4-6.ピアサポートから就労へ
「バラエティ就活笑百科」が実施されたときIさんは仕事をしていた。ピアサポーターをやった後
に介護職員初任者研修、昔のホームヘルパー2級を受講されて介護職として働いている。この講座で
Iさんはピアサポーター活動をしてきて仕事をしたいと思い、研修を受けて介護の仕事をしているこ
とや仕事の内容について紹介してくれた。グループの参加者は「介護ではしもの世話をするのですね。
大変だと思います。私にはしもの世話などとてもできません」と質問を出した。Iさんの回答は「う
んちやおしっこなんて臭いだけのものです。大したことはありません。それよりも本当に怖いのは人
間です」という内容だった。私は現在も苦しい思いをしながら仕事をされているIさんのこの言葉に
とても感銘を受けた。ただIさんは仕事の大変さなどの愚痴を家族には話さない。両親も心配されて
続けて相談に来られていたが、家では何も話さないというなかで、昼間は仕事をしているためグルー
プ活動やピアサポーター活動にも参加できなくなったIさんは仕事場と自宅を往復するだけの生活に
なっている。一息つける場所がなく仕事をした後の孤立の問題もある。家族が心配されていることは
Iさんも承知していることだが、家で仕事の愚痴を言えば家族が心配して「そんなことを言わないで
頑張って」と言われ、余計に話しにくくなるのかと思った。
そのため就労後に話せる場所をイメージして立ち上げたのが、「このサカイの片隅に」という自助
グループである。日中に仕事をしているためにグループ活動に参加できない人たちが夜間に集まって
ボードゲームをしたり会話をしている。私も今は職場を離れてしまったが、ここに関しては仕事と関
係なく独立した自主グループなので毎回参加してボードゲームで遊んでいる。私自身が完全に癒され
ている。Iさんも毎月参加してもらい、会場の手配など手伝いをしてもらっている。他にも会計事務
や菓子類を調達する人も参加者で分担し対応している。結構Iさんは仕事の愚痴をよく話してくれる
ので良かったと思う。これからも続けていきたい。ただ残念ながらブログを開設しているが、パスワ
ードで開くようにして全公開していない。知らない人に参加してほしくないためだが、参加者で決め
たことなので構わないと思う。
5.終わりに
SSGという形で試行錯誤をしながら利用することに対してハードルの低い方法を考えて興味のある
プログラムをまず利用する。Kさんが遊戯王カードやスマッシュブラザーズで遊びたい人が集まれる
企画を立て、図書館のボランティア体験や講座なら参加できるようするなど、参加することのハード
ルを考えながら企画する側になれる仕組みもつくり仲間と一緒に楽しく企画してもらい、ピアサポー
ター活動、グループワークを中心に考えてもらう。
そしてもう一つは講師をすること。講座形式やワークショップや創作講座の講師や、体験談発表の
講師をやってもらう。このような形でSSGが成り立っていると考えたとき、多くは利用者が、Iさん
のようにボランティアの講座から入っているがメインは企画する側になってから利用する側になる
方もいれば、一部講師から入る方もいる。みんなの輪に入るのが嫌だとか企画会議で人の中に入るの
が嫌な人でも、自分の得意なことで例えばクラシック音楽に詳しい方に講師を依頼すると引き受けて
くれる方もいた。講師に対しては謝礼金を支払うことができるが多様な機会があることが大事だ。私
たちは「就労支援はしない」というコンセプトがある。就労した人の体験談を聞く機会はあったが、