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ただ、養成研修・派遣事業でひきこもりという言葉が一部でてくる。つまりここで初めてひきこもり
に関して意識してもらうことになるわけだが、かなり自分の好みを言い合って「こんなグループワー
クをしたい」という意見が出されるため各人の個性がみえる。今までの自己開示しないSSGのグルー
プの雰囲気とは違い濃い関係になっている。連絡先の交換や友達関付き合いも当然はじまってくる。
大事にしているのはミーティングの雰囲気で、私たちも一緒に参加してアイディアを出したりするが、
私たちが仕切って決めるわけではなく一緒に考える。スローガンは「安心してスベれるサポーター会
議」なので、しょうがないことを言っても安心してスベれる、あたたかい目で見られるという大阪の
文化があるので、私もボケまくってもみなさんが突っ込んでくれる。
4-4.やりたいことがアイディアになる
それから「筋道つけず拡散させよう」と寄り道をたくさんしながらダラダラとお喋りしながら企画
を練っていく会議をしている。傾向として新しいことをやりたい人が多い。みなさん家で自分のパソ
コンなどで調べてくる。例えば何年か前に流行った「おにぎらず」というにぎらないでサンドイッチ
のように調理するものがありそれをつくる企画もあった。
「あなたの知らないアナログゲームの世界」
という企画もあった。ボードゲームといえば人生ゲームやウノとかトランプのようなものになるが、
最近はさまざまなボードゲームが流行っている。私もボードゲームにはまっていて、そういう情報を
調べてくれる人もいる。
また博物館やリスがいる公園に行くことについて情報を調べてきて外出企画を行ったこともある。
一人ではできないがやってみたかったことを挙げる人が多かったように思う。例えば「お菓子の家を
つくろう」という企画では、話にはよく聞くお菓子の家を実際につくる試みで、いくつかのグループ
に分かれビスケットやクリームなどを使い、他にスティック菓子を木に見立ててつくっていた。また
外遊びの企画としてテレビでもたまに取り上げられる大きなシャボン玉をつくる企画も行った。子ど
も心に思っていたけれどもやらなかったことを提案してくれた。このような「一人ではできないから
みんなでやってみよう」といった企画をみなさんが出してくる。
4-5.Iさんの変化
Iさんは「ピアサポート活動をやる前はグループのスタッフが企画したほうが効率的だ。なぜ僕た
ちがやらなくてはいけないのか。会議で話し合うのは無駄。さっさと決めてしまったほうが楽だ」と
最初は思っていたが、実際に会議で話し合ってみるとこういう時間が大事だと思えるようになったと
後で語ってくれた。またIさんは、他のグループについては「傷のなめ合い」と述べていたが、企画
する場合は「他にどんなことをグループがやっているのかが気になるので教えてほしい」といわれ、
今までは拒否されていたので案内しなかったが、他のグループ企画の案内チラシをみせたところ、
「こ
れ見に行ってみます」と参加するようになった。
Iさんは音楽とか文学に詳しく、ピアサポーター活動以外で講座のプログラムで講師を務めてもら
えると思い依頼したところ「私なんて音楽や文学が語れるほど詳しくないですよ」と断られた。「そ
うですか。別に音楽や文学でなくてもいいのですが」と言ったら「どうしてもというなら、それでは
何か別に話せることを考えてみます」と約束してくれた。後日「UFO~空を飛ぶ人の心」こういうデ
ザインのチラシを作成してくれた。Iさんは「『UFOの目撃事件の歴史を振り返る』というタイトルで
話したい。みなさん参加したいですか」と語りかけた。私はこのチラシをみたとき正直なところマニ
アックな内容なので心配にはなったが、多くの参加者が集まってくれた。何がヒットする内容なのか
まったくわからない。
グループワークの企画だけではなく体験談を話してもらいたいと思い、ひきこもりサポーターの養
成講座とは別の講座を開催した。体験談発表をしてもらうための準備として「サカイ話し手養成講座」