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実施している。ひきこもり地域支援センターには社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士等といっ
た専門職がひきこもり支援コーディネーターとして配置され、地域における関係機関とのネットワー
クの構築やひきこもり支援に必要な情報を広く提供するといった地域におけるひきこもり支援の拠
点としての役割を担うことが期待されている。2018年度からは2017年度に法制化された生活困窮者
自立支援制度との連携を強化し手厚い支援を充実させ、ひきこもり地域支援センターのバックアップ
機能等の強化を図っていくことになった(図-1)。
図-1)市町村でのひきこもり支援の強化の全体像
また2013年には「ひきこもり対策推進事業の拡充」として「ひきこもりサポーター養成研修・派
遣事業」が導入された。これはひきこもりの長期高齢化に伴うひきこもり当事者本人とその家族から
の多様な相談にきめ細かく、かつ継続的な支援を行う事業である。具体的には都道府県及び指定都市
単位で「ひきこもりサポーター(ピアサポーターを含む)」を養成し、登録された「ひきこもりサポ
ーター」を必要とされる地域に派遣するものである。しかしその主要な役割が「訪問支援」を行うこ
とを期待されたため残念なことに個々のひきこもり当事者ニーズをとらえるものとはならなかった。
そのため各地方自治体における養成の取り組みについて「登録者は増えているが、市町の要請で家
庭訪問したのは1件」
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という事例からもわかるように思いのほかひきこもりサポーターの派遣活
用が伸び悩んでいる問題が指摘されている。
そこでこうした状況をより実態に即したものへ見直す試みが行われ、2018年度からは「ひきこもり
支援従事者養成研修」を新たな「ひきこもり対策拡充推進事業の拡充」として追加し、ひきこもりに
携わる現任支援者の資質向上に努めるとともに、
「ひきこもりサポーター(ピアサポーターを含む)」
の具体的なプラットホームとしてひきこもり支援拠点(ひきこもりの居場所や早期に発見し適切な支
援につなぐ相談窓口)をつくるなど「ひきこもりサポート事業」に取り組むことになった(図-2)。