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えることができました。今年は一人ではないと思える年明けです」と書いてあるが、この子と手紙の
やり取りをするようになったことが一つのきっかけとなり、5年前「ポポロ」から「みんなに年賀状
を送ってみよう」ということになり、全員に送ったことがあった。毎月このニュースレターを送って
いるけれども、ニュースレターには「あけましておめでとう」とは書かない。おめでたくない人もた
くさんいるので書かない。年賀状送っても大丈夫かという気持ちで送ってみたら、家族の方から「わ
が子に届いた年賀状がこの1通だけだった」という返信が何件かあった。受け取った彼らが「ポポロ」
から届いた年賀状を大事に部屋に持っていったことを聞いてこれは居場所だと思った。だから田中さ
んたちは、手紙支援が広い意味でのアウトリーチだと言うが、私は広い意味での居場所だと思ってい
る。
3. 相談機関には手紙や絵葉書支援の発想を
親がまず家族会に出てきて、そこをきっかけに手紙やはがきを送ったりする。それから居場所やサ
テライト(別の場所)を開催したときに来てくれた人たちがつながる場合もある。また相談機関から
つながる場合もあるし、電話やメールで来る人が一番多い。
ただ問題は、相談機関から手紙やはがき支援をしてほしいと言われることは全然ない。相談機関の
人たちは多分そういう経験もなければ発想もないので、居場所は使えるかどうかの問い合わせはいく
らでもある。でも居場所に来るにはかなりハードルが高い。その前に信頼関係をつくるためには、い
ろんな形で交流することが大事だと思っているが、まず紹介してくることはない。手紙やはがきの入
り口部分はとても大きい問題だと思っている。電話とかメールは緊急度が高い。先ほどのお化け屋敷
だとか貧困ビジネスからの救出とかは緊急度が高い場合があるが、基本的には孤立感が大きい人が多
いので、関係をつくるまでには時間がかかると思った方がよい。
3-1. 断られない限り手放さない
これもとても大事なことだが、一度出会ってつながった人は断られない限り決して手放さない。多
くの人はさまざまな相談機関を巡った人たちで、基本的には出会った人みんなに絵葉書を送る。ひき
こもっている人にはもちろん送るが、会うことができる人、ときどき会うことができる人にも送る。
電話ができる人にも送る。場合によっては親にも送る。何故かというと回答を持ち合わせていない。
回答を持ち合わせていないというのは、「あなたはこのようにした方がよいですよ」とか「こういう
制度を使えますよ」ではない。その人が感じている孤立感とか孤独感とか社会とつながれていないと
いうそうした問題を解消するには、回答があるわけではないということ。だから私たちと知り合った
以上は決して一人にはしないということを基本にしている。それは一人ではないという安心感の中で
はじめて自分がどうしたらよいのかという答えを見つけることができると思っているからだ。そうい
う安心感がないと次にどうしたら良いかなかなか踏み出せないことだと思う。だから手紙や絵葉書を
使った交流にはとても大きな力があるはずだ。
手紙や絵葉書は、出会った人をどうしたらつなぎとめておけるか。要するに相手が見捨てられたと
思わないために役立つとても効果的なツールである。電話は相手とこちら側の都合があるため難しい
ところがあるが、絵葉書はこちらが書いたら必ず相手に届くし相手の都合に関係なく届けられるので
とても大事だ。それを送り続けること、これは月に1回と決めなくてもよい、2か月に1回でも3か
月に1回でもよいが、送り続けることにより何かあったときにここに助けを求めよう、この人に助け
を求めようと思ってもらえるためのツールだと思っている。
あるホームレス支援をやっている人たちが、ホームレスの人に自分たちの事務所を書いた葉書を出
す活動がある。ホームレスの人たちが本当に困ったときに「ここに助けてほしいと書いてポストに入
れるだよ」と伝える。そうすると本当に困ったときには連絡がくる。そういうツールだと思っている。