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平成30年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業【地域連携活動支援事業】
ひきこもりピアサポーターによる
手紙を活用したピア・アウトリーチ開発事業報告書
-見返りを求めず緩やかにつながるための道標-
特定非営利活動法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク 田中 敦
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1.ひきこもりを取り巻く状況
ひきこもりに対する支援動向は大きく若者支援から生活困窮者自立支援へと大きくシフトしてき
ている。その背景として挙げられるのが全国各地で顕在化してきた40歳を超える中高年ひきこもり
当事者の増加である。ひきこもりの高年齢化は昨今地方自治体で行われているひきこもりの実態調査
からも明らかとなっている。
たとえば、2018年6月、NHKが全国47都道府県と20政令指定都市を対象に行った独自調査結果で
は全国の3割にあたる20府県と市で40歳以上のひきこもりの実態調査が実施され、さらに岩手県、
鳥取県、香川県、浜松市で調査が予定されていることがわかった
(1)
。このうち2019年3月までにそ
の調査結果を公表した20地方自治体における40歳以上を示す割合をまとめたものが表-1)
である
(2)
。
未公開地域4県と市を除く20地方自治体のうち半数以上を占める11地方自治体が「40歳未満」より
も「40歳以上」の割合が大きかった。また首都圏よりも九州や北海道、沖縄県、岩手県といった地方
圏にその傾向が比較的多く見られ、ひきこもりの高年齢化は人口の多い都市部だけの課題ではないこ
とが理解できよう。
北海道全域における40歳以上のひきこもり実態調査は実施されていないが、政令指定都市札幌市
では2018年度15歳から64歳までを対象としたランダムサンプリングによる郵送調査とひきこもり
57
36
46
43
40
66
75
66
47
82
60
47
29
48
36
33
41
54
61
33
43
62
54
57
60
34
20
34
49
18
40
53
71
52
64
67
59
46
39
67
2
5
4
山形県
岩手県
鳥取県
茨城県
山梨県
岐阜県
愛知県
京都府
大阪府
兵庫県
愛媛県
島根県
佐賀県
長崎県
大分県
沖縄県
仙台市
横浜市
新潟市
札幌市
表-1)40歳以上のひきこもり実態調査結果
40歳未満
40歳以上
N.A