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い加減な整序への働きかけをする。そして渾沌をつくる。これはぐるぐる回る。このカオスは「わか

りあい」「もたれあい」「わらいあい」「もうけあい」など「わかちあい」共生を生むということが大

事だ。 

先ほど言った「カオスを維持すること」は「統制・管理・支配しないこと」に必要になることでも

ある。この時系列で大事なのは経験者も援助職も必要なことはある人とある人とを分けない、導かな

い、教えない、来た球を打つ、多様なモデル。こういうことを大事にしていかないとカオスを維持継

続できないと思っている。 

もっというとひきこもりの問題というのは私たちの多くの市民の生き方が問われていることでも

ある。生き方をもう一回考え直すことが大事だ。最後に私たちにできることは、本人と苦楽をともに

して生きていくことだ。コントロールフリー(非管理・非暴力・非抑圧)の「対話」を育むこと。そ

のためにどんな方法がふさわしいのかを議論できればと思う。 

 

 

6-2.講義Ⅱ-ひきこもりアウトリーチとピア実践  

-ピア実践にみる主体形成- 立命館大学 山本 耕平 教授 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめに 

私は、JYC(一般社団法人若者協同実践全国フォーラム)の共同代表である。今日、私に与えられ

たテーマは、「ひきこもりアウトリーチとピア実践-ピア実践にみる主体形成-」であるが、私は、

今日このテーマを技術的にとらえ、そのHow to をお話しするのではなく、私たちが共有すべき実践

哲学について触れたいと思う。 

 

1.

 ひきこもりアウトリーチと権力・暴力 

私は、三菱財団の研究助成を受け、「ひきこもる若者を対象とするピア・アウトリーチ支援者養成

に関する研究」という研究に取り組んだことがある。ここに示したのは、そのときヒアリングさせて

いただいたあるピアの語りである。 

 

1-1.ひきこもり支援と権力・暴力 

この語りにある、支援者は「他人様の生き方に口出しし、恐れ多くも他人様の人生そのものに介入

する」ことを要請されているという言葉はどのような意味をもっているのか。 

これは、ときとして本人の権利を奪いかねない「介入」となる「支援」に対する厳しい語りではな

いか。この言葉が示す支援の「暴力性」「権力性」を我々福祉実践者は注目すべきである。 

支援の「暴力性」「権力性」というのは、なにも戸塚ヨットスクールやアイメンタルスクールのよ

うな人の命を奪ってしまう支援のみをさしているのではない。いかにも優しい支援者かのような表情