ピアサポート活動の推進

 当事者発の実践が広がっていくなかで、ひきこもり経験を活かしたピアサポートの理解啓発活動に努めています。
 私たちNPO法人では、2014年度に北海道の広域圏地域特性を活かす「ひきこもり地域拠点型アウトリーチ」支援事業をすすめるにあたって、その重要なかなめとなるひきこもりピアサポーターの養成研修事業を北海道内では、はじめて北海道内7ブロックに分けて開催してきました。また現実に見合うアウトリーチの方法・技術を開発していくため、2015年度には「ひきこもりピアサポーターによる手紙を活用した効果的なアウトリーチ実践研究」事業を実施、2016年度には調査研究事業としてひきこもりピアサポート実践者6名を全国から招聘した「当事者参画型ひきこもり支援者養成研修プログラム開発モデル事業」を行い、『それぞれの経験的知識がつなぐひきこもりピアサポート』の今後あるべき方向性について検討を加えました。
 しかしその一方では、2013年度厚生労働省がピアサポートを含む「ひきこもりサポーター養成研修・派遣事業」が「ひきこもり対策推進事業の拡充」によって国の施策として導入された以降、実態としてマンパワー養成という言葉だけが先行してしまい、当事者のみならず一般市民からもひきこもりに特化した新たな援助職としての資格認定という語弊を招く結果をもたらしています。
 そうしたなかで、北海道ひきこもり成年相談センター、札幌市ひきこもり地域支援センターと私たちNPO法人、さらには全国ひきこもりKHJ家族会連合会北海道「はまなす」が構成メンバーとなり2015年12月に「ひきこもりサポーター養成協議会」が発足しました。ここでは年2回ほど「ひきこもりサポーター養成協議会」を開催し、ひきこもりピアサポートを含むひきこもりサポーター養成のあり方の検討をすすめており、これまでの会議ではひきこもりピアサポートの研修とひきこもりサポーターの研修は基本的に分けて行うことや、ひきこもりサポーターについては人材養成ではなく地域社会における理解啓発的な目的として動画配信を活用した研修を実施し、ひきこもりピアサポートの研修については、実務者を基軸に「経験のエキスパート」としてさらにサポート機能のスキルアップを図ることができる内容にしていくといった検討が出されています。
 今後ひきこもりピアサポート活動がそれぞれの地域において根差されて展開していくためには当事者を中核して家族や支援者(専門職)との協働は欠かせません。そうしたトライアングルによる協働としての仲間づくりが求められています。

ひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業・理解啓発リーフレット

平成26年度公益財団法人日本社会福祉弘済会社会福祉助成金事業「ひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業 ひきこもりピアサポーター養成研修事業」は、前年度道北旭川圏を重点地区して札幌市との比較において取り組んだ「ひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業」の具現化を図る目的で、そのかなめとなるひきこもり経験者やその家族、理解ある一般市民などを対象とした「ひきこもりピアサポーター」養成事業を当事者団体初の試みとして北海道内7箇所で開催しました。その成果をこのたび「理解啓発リーフレット」して発刊する運びとなりました。各地域における実践活動の場で幅広く活用されることを願っています。
詳細について右の画像よりPDFにてご確認ください。

ひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業・理解啓発リーフレットひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業・理解啓発リーフレット

ひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業・理解啓発リーフレット

ひきこもり経験者参画型の理解啓発活動

 身近な地域においてひきこもりに対する眼差しがもっとあたたかいものであるならば、これほどまでに長期にわたり苦しまなくても済むというのは多くの当事者たちの思いです。根強くあるひきこもりへの誤解や偏見を軽減除去し、広く地域の人たちにひきこもりを理解してもらうためには、ひきこもり当事者自らあるいはひきこもり経験者がピア・アドボケイターとなって社会に向かって発信していくことがとても重要です。
 私たちNPOでは、当事者が心身に無理なく在宅にいながら社会参画し地域に情報発信していく会報「ひきこもり」通信を隔月年6回刊行しています。この会報「ひきこもり」通信は2017年1月号をもって100号を迎え、これを記念した「札幌圏のひきこもり情報社会資源電子マップ」を制作して公開しています。
この17年間に及ぶ会報づくり過程のなかで思いもよらない事業へと発展していくこともこれまでの活動では見られました。全く面識のないひきこもり当事者同士が会報というツールを通してつながり仲間としてお互い支え合う関係性がつくられています。
 また、ひきこもり理解啓発を目的とした「道産こもり179大学」を毎年道内で開催しています。「道産こもり179大学」とは、道産子とひきこもりをあわせた用語で179は北海道内の市町村数を指しています。2016年度には初めて町村で開催しました。支援者(専門職)から当事者が教わるのではなく、支援者(専門職)が当事者から教わるという、これまでの固定化した既存関係から脱却した逆転発想はピアサポートにとっても大事なことであり、「道産こもり179大学」を通してそれらを感じ取り、ともに学ぶ場と関係性を設定しています。詳細は「道産こもり179大学」公式ページをご覧ください。

» 「道産こもり179大学」公式ページ

会報「ひきこもり」通信の刊行

 会報「ひきこもり」通信(隔月・年6回)の内容は、体験談や家族とのかかわり方など参考となる記事をはじめ、特集記事、当NPOの事業活動報告、読者のページなどで構成され、記事執筆などはひきこもり当事者たちで行い、ひきこもりの情報発信と交流の役割を果たしています。
 年購読を希望する方は、正会員または賛助会員になる必要があります。

» 「会報誌「ひきこもり」通信」バックナンバー

北海道内各地に当事者会を広げる活動

 北海道には当事者が気軽に集まって活動できる拠点がまだまだ少なく、社会資源の地域間格差が大きいのが現状です。そのため現在、北海道内に当事者会を少しずつ広げる活動に力を注いでいます。
私たちNPOでは35歳を起点とした当事者会「SANGOの会」を運営していますが、2017年度で満10年を迎え「札幌圏ひきこもり当事者会社会参加活動促進事業」を計画しています。
当事者会の初心者が安心して参加できる当事活動の工夫や、当事者が無理なく自分のペースで自分のできることを積み重ね、自信を少しずつ回復し、自らの可能性を信じて社会に貢献できる多様なレジリエンス(resilience)・メニュー開発を検討しています。

35歳を起点とした当事者会「SANGOの会」

 2007年4月から、35歳を起点としたひきこもり当事者会「SANGO(さんご)の会」を毎月2回開催しています。そこでは若い世代と異なった成年・壮年期特有の悩みなどを共有し、これからの生き方、働き方など、さまざまな経験を話し合っています。
 また、遊び心を取り入れたセッションを取り入れ和やかにコミュニケーションをとっています。通常の例会のほか、初心者向けの少人数グループでの開催も併せて実施しています。
 現在使用している会場は札幌市社会福祉総合センターの研修室を借用しています。参加費は無料です。開催日時などは、ホームページ内にあるスケジュール表で「SANGO の会」をご覧になるか、事務局までご連絡ください。

» 「SANGOの会」紹介ページ

北海道ひきこもりカフェin旭川 活動のしおり

北海道ひきこもり当事者連絡協議会設立に伴い北海道ひきこもり当事者会協同実践型地域間連携活動促進事業を展開しています。
詳細について右の画像よりPDFにてご確認ください。

北海道ひきこもりカフェin旭川 活動のしおり北海道ひきこもりカフェin旭川 活動のしおり

北海道ひきこもりカフェin旭川 活動のしおり

ひきこもり当事者起業研究

 最後に私たちNPOは、35歳を起点にした比較的年齢の高い当事者団体である特性をもっており、高年齢ひきこもり当事者が親亡き後も不安がなく生活し続けることができる仕組みづくりを検討しています。年齢が高くなればなるほど歩む選択肢を幅広くとらえていくことが精神的な切迫感をある意味回避することにもつながります。
 その意味でNPO活動は当事者の体調に無理なく在宅勤務など働き方に融通が利くところがあります。また高年齢ひきこもり当事者にとって持続的に働き続けるために必要な定年制がないことも特徴の一つとして挙げられます。
 また、高年齢ひきこもり当事者の多くは収入を増やす思考よりも切り詰めた最小必要限度の生活を考える人たちが多く見られます。今後の残された資産などを見据えて生涯設計のライフプランを専門職の協力も得ながら考えていくことも必要です。
 さらに働きたいと漠然と思っていてもできないでいる高年齢ひきこもり当事者にとってどのような社会的なサポートがあればその思いが実現していくことが可能なのかを丁寧に聞き取り社会に具体的に提示していくことも重要です。
 高年齢ひきこもり当事者は、ひきこもり第一世代として先例のない道を開拓していく側面をもっています。さまざまな人たちの知恵と力の結集が求められ、そうした対話づくりの場も必要です。私たちNPOでは、創造的な未来に向けた開かれた対話づくりとして「ひきこモシリフューチャーセッション」を開催してきたところです。

他団体機関との提携による中間労働活動の推進

  ひきこもりと労働について当事者の立ち位置から探求しています。平成27年度には北海道社会福祉振興基金助成金事業として「中高年ひきこもり就労準備支援事業」を実施し成果物を公表してきました。詳細はPDFを参照ください。

ひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業・理解啓発リーフレット北海道中高年ひきこもり就労準備支援支援事業 理解啓発リーフレット

現在、社会福祉法人札幌市社会福祉協議会札幌市ボランティア活動センターと提携して月2回DM便封入封印などの軽作業の委託を受け希望するひきこもり当事者が担当しています。1回参加することで実費弁償として一人500円支給されます。
 またこれまで公益財団法人北海道社会福祉士会道央地区支部などからも一部軽作業の委託を受けてきました。これら委託による仕事については報酬としてこれに従事した当事者個々人に支給しています。

ひきこもり地域拠点型アウトリーチ支援事業・理解啓発リーフレット